2018年06月27日

シェキ・ハーンの宮殿と窓職人

アゼルバイジャンで最も美しい古都として知られるシェキは、シルクロードの中継地として栄えました。
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「シェキ・ハーンの宮殿」は、18〜19世紀にこの地を支配したシェキ・ハーンによって建設された夏の離宮です。
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建設当時には城塞の中に40ほどの建物があったそうですが、そのほとんどが破壊され、他で残っているのは南側にある冬の宮殿だけです。
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2階建ての「シェキ・ハーンの宮殿」は、外観も美しいのですが、内部はさらに見ごたえがあります。
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ゲストルームの窓と床に映る窓

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遅い午後の時間の床に映る窓

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シェキカーンの部屋の窓から


宮殿内の窓は、イタリアのヴェネティアからその昔隊商が運んだとされるガラスとシェキのクルミ材を接合して作られており、1本のくぎも使われていません。
「シェバカ窓」と呼ばれます。

この「シェバカ窓」の修復に携わっている窓職人さんと出会いました。

彼の名前はトフィークさん。
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彼の工房の展示スペースで

お父様のアシュラフさんはシェキで唯一のシェバカ職人だったそうです。
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工房に飾られた父アシュラフさんの写真

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左:父のアシュラフさん 右:トフィークさん

アシュラフさんの家は代々大工で、「シェキ・ハーンの宮殿」の屋根を修復する仕事をきっかけに宮殿に出入りするようになり、「シェバカ窓」に魅せられました。

それで、造り方を独学で習得し、宮殿内に工房を作り、その工房で後身に技術を教えてきました。

工房は、数年後宮殿前にある古いアルバニア協会(5世紀頃の建築)の中に移り、さらにその10年後宮殿近くの現在の工房へ移りました。
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工房の入り口と窓

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工房の庭からみた窓

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工房の中の一部屋

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昔工房があったアルバニア教会


息子であるトフィークさんも、小さな頃から工房へ出入りして父親から技術を学び、18歳で職人として仕事を始めました。
彼が生まれて始めて見たシェバカは、ベビーベッドの周りを囲んでいた父親製作のきれいな色のガラスで、今でもその光景が鮮明に残っていると話していました。

現在は2人の息子さんも職人となっており、工房では7人の生徒に技術を教えています。

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ガラスを特別な工具で切る
 
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組み立てる前のガラス

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窓を作る木材


夏の宮殿と冬の宮殿、どちらも正面に大きなシャバカがありメッカの方角に向いています。

トフィークさんは2002年に冬の宮殿、2011年には夏の宮殿の修復、監修を務め、息子さん達も修復に参加したそうです。
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トフィークさんが修復した窓

建物とともに受け継がれていく技術。
こうした技術を受け継ぐ人々がいなければ、美しい建築もまた生き続けることはできないことをあらためて思い知らされた出会いでした。


posted by Backbone at 10:36| アゼルバイジャン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする