2019年04月30日

破壊された世界遺産「パルミラ遺跡」その2

前回の続きです。

昨年9月に訪れたシリアのパルミラ。

パルミラ博物館の内部は無残な姿でした。

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壁や天井には爆発で大きな穴が開き、展示ケースのガラスは粉々に砕け、展示品は持ち去られていました。

博物館職員の話によると、この展示ケースは日本政府から寄贈されたとのことです。
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押し倒されたままの石像。
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展示品の中には、わずかですが、破壊をまぬがれたものもありました。
例えば、このモザイク画。
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人物の彫像(胸像)が展示されていた壁です。
彫像は持ち去られたそうです。
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壁の右のほうに、IS戦闘員が書いた「バーキヤ」という落書きが見えます。
「バーキヤ」とは「残留する」という意味の単語で、ISのスローガンの1つです。

ISの戦闘員は、彫像の頭部や顔の部分を執拗に破壊したようでした。
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破壊されはしたものの、持ち去られずにすんだ遺物は、館内の一角に集められていました。
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「遺物の修復と博物館の復旧にはまだまだ相当の時間がかかるよ」
博物館の職員は、そう話しておられました。


ただひとつ、学術上重要な遺物はISがパルミラに進駐する直前にダマスカスに移送されたことは救いです。
それらの遺物は、現在もダマスカス国立博物館に保管されているそうです。


博物館を出て、遺跡へ向かいました。


(次回へ続く)


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2019年04月24日

破壊された世界遺産「パルミラ遺跡」

パリのノートルダム大聖堂の尖塔が崩れ落ちる映像はあまりに衝撃的でした。
世界の多くの人たちが、大きな悲しみを共有したことだと思います。

パリのノートルダム大聖堂は、1991年、ユネスコの世界文化遺産に登録されました。
「長い歴史の中で生まれ、受け継がれ、将来においても重要性を持つ人類共通の宝物」である世界遺産。
世界中で広くそう認識されてるからこそ、ノートルダム大聖堂の火災のニュースに、国籍宗教を問わず、たくさんの人たちがショックを受け、再建のために多くの寄付が集まっているのでしょう。


シリアのパルミラ遺跡がユネスコの世界文化遺産に登録されたのは、ノートルダム大聖堂登録の11年前、1980年でした。

パルミラは、紀元前1世紀から紀元3世紀にかけてギリシャ・ローマの西方と東方を結ぶシルクロード交易で栄えた隊商都市です。

遺跡は、シリアの首都ダマスカスから砂漠の一本道を車で3時間ほど走ったタドムルにあります。

ずいぶん昔の話になりますが、初めてパルミラを訪れて、ローマ時代の列柱道路を目にした時の感動は今でも忘れることができません。

シリア内戦以前は、世界中から毎年15万人以上の観光客がこの遺跡を訪れていました。
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昨年9月、内戦後初めて、パルミラを訪れました。


同行してくれた観光省職員のマフムード氏は、以前旅行会社のガイドとして働いており、ダマスカスとパルミラ遺跡との間を数え切れないほど往復したそうです。
「外国人のツアー客と一緒に、何度も通った道ですね」
日本人観光客も案内したことがあり、日本語の挨拶などを今でも覚えていると話してくれました。

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内戦中の2015年5月、IS(イスラミック・ステート)がパルミラ全域を制圧。
紀元1世紀に建てられたベル神殿など、爆弾で次々に破壊していったそうです。

10年ほど前にパルミラを訪れた時には、パルミラ遺跡調査研究の第一人者であったハーレド・アスアド氏に博物館でお会いしましたが、現在は、博物館の展示品は破壊され、アスアド氏はISに捕らえられて殺害されたと聞きました。

2017年3月、政府軍はISを放逐しパルミラを再制圧しました。
現在、パルミラに至る道には、多くの検問所が政府軍によって設置されており、パルミラとその近郊一帯への入境は厳しく制限されています。
道中すれ違うのは軍用車ばかり。一般の乗用車はほとんど見かけません。


パルミラの町に到着し、まずは博物館を訪れました。
(次回に続く)



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2019年04月22日

BS-TBS『世界の窓』今週の放送はチュニジア、カイルアンの窓です!

BS-TBS『世界の窓』先週金曜日の放送は、弊社が撮影コーディネート及びリサーチを担当した『チュニジア/カイルアン「霊廟の番人」』でした。  

カイルアンは、北アフリカ、チュニジアの中部に位置するイスラムの古都です。
1988年には、カイルアンの旧市街全体が「聖都カイルアン」としてユネスコの世界遺文化遺産に登録されました。


今週末のBS-TBS『世界の窓』でも引き続きチュニジア、カイルアンの窓が登場します。


◇2019年4月26日(金)よる10:54〜11:00 
BS-TBS 『世界の窓』
#617チュニジア/カイルアン「聖なる井戸」


ぜひご覧ください!


【公式WEBサイトより】
◇今週の放送予定
#617 チュニジア/カイルアン「聖なる井戸」
チュニジアの古都カイルアンは7世紀に作られた。時をほぼ同じくして発見された井戸が、今も旧市街の中心部にある。ドーム型の建物で守られ、四方に窓が穿たれている。鉄格子の形はラマダンの時に食べるお菓子を模していて、呼び名もそのまま。窓ガラスの色も、太陽を表す黄色、空の青、そして天国の緑と、伝統の三色だと言います。井戸は聖地とつながっていると信じられ、多くの巡礼者が訪れる。


◇先週の放送内容
#616チュニジア/カイルアン「霊廟の番人」
チュニジアの古都カイルアンはイスラム教徒にとって、4番目の聖地。それは預言者の仲間が祀られている霊廟があるから。その部屋には窓があった。聖なる部屋を守る鉄格子と、窓枠は緑色に塗られている。番人が言うには、緑は天国を表すと言う。その窓を毎朝掃除し、空気を入れ替えるのは彼の役目。そうすることで、巡礼者たちを迎え入れ、導くのだ。




posted by Backbone at 22:21| チュニジア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする