2019年07月20日

ジョージア アッパー・スヴァネティの不思議な景色(2)石の塔の建設

前々回ご紹介したジョージアのアッパー・スヴァネティ地方の石の塔について、もう少し詳しくご紹介します。
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下の写真の塔は、すでに居住住分がなくなってしまったものです。
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どの塔の入り口も、簡単には中に入れないように、地面より高く作られています。
塔は、侵略者が村の仲間でやってきた際にいち早く避難できるよう、同居親族ごとに建てられたそうです。

塔の中に入るとこんな梯子がかかっています。
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侵略者に中に入って来れられないように、家族全員が上った後には、この梯子を引き上げて外し、石の蓋を閉めていました。
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塔の一番上には、攻撃をするために使われた窓がありました。
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下向きに開いた窓もあります。
侵略者に向かって石を投げたり、熱湯を落としたりもしたそうです。
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この窓は、別の塔にいる村人とコミュニケーションを取るためにも使われました。
この窓からロープを引いておいて、隣同士外に出ることなく食料や水を送りあったりもしたそうです。
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塔の建設は、近郊の山で採れる花崗岩、近隣で採れる石灰岩、砂で作ったモルタルを交互に積み重ねて行われます。
現在も同じ方法で修復しているそうです。
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以前は、石の運搬に牛が使われていました。
夏の間に山の上で花崗岩を切り出しそのまま放置しておくと、冬に定期的に起こる雪崩によって山の麓へ落ちていくので、その石を拾って牛で村まで運んだんだとか。
現在は、牛ではなくトラックが修復用の花崗岩を運んでいます。
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下の写真のロシア製トラックは何十年も使われているんだそうです。
まだまだ役に立っていますね。
ひっくり返ってしまいそうな山の斜面や川の中をどんどん進みます。
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ユネスコの世界遺産にも指定されているジョージアのアッパー・スヴァネティ地方の世界で一つだけの特別な風景は、山脈と川に挟まれた雄大な山岳風景と大きな石造りの建造物のコラボレーションによって生み出されています。

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2019年07月18日

BS-TBS『世界の窓』今週の放送予定はチュニジア、ジェルバ島のシナゴークの窓です!

BS-TBS『世界の窓』前回7月12日の放送は、弊社が撮影コーディネート及びリサーチを担当した『#628チュニジア/シディ・ブ・サイド 「シンメトリーの宮殿」』でした。

シディ・ブ・サイドは青い格子と白壁のコントラストが美しい街です。
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そして、明日7月19日の放送でも、チュニジアの窓が登場します。


◇2019年7月19日(金)よる10:54〜11:00 
BS-TBS 『世界の窓』
#629チュニジア/ジェルバ島「シナゴーグの光」




ぜひご覧ください!


【公式WEBサイトより】
◇今週の放送予定
#629チュニジア/ジェルバ島「シナゴーグの光」
チュニジア、ジェルバ島にはたくさんのモスクがあります。そのほとんどは夏の日差しから守るため白く塗られています。その中にユダヤ人の礼拝堂、シナゴーグがありました。同じく白壁に青い窓が印象的。シナゴーグ伝統の高窓がその堂内を照らしていました。祭壇のある部屋の高窓の下には、旧約聖書のヤコブの12部族の名前を見ることができます。高窓からの光がその名を照らし、信仰に灯をともし続けてきたユダヤ人を見守ります。



◇先週の放送内容
#628チュニジア/シディ・ブ・サイド 「シンメトリーの宮殿」
チュニジアのシディ・ブ・サイドに並ぶ白壁と青い窓の家々は、人々の目を惹きつける。それは伝統の配色。中でも1912年に芸術家でもあった男爵が建てた宮殿は、特に人々を魅了。宮殿を正面から見ると窓がシンメトリーに並んでいるのがわかる。芸術家の男爵のこだわりだった。彼は白と青の配色が気に入り、街の家々はそれに統一するべきだと町に進言した。その伝統が今も守られている。





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2019年07月16日

ジョージア アッパー・スヴァネティの不思議な景色(1)

ジョージアの首都トビリシから車で12時間、ロシアとジョージアにまたがるコーカサス山脈の南、標高約2400mに位置するアッパー・スヴァネティには、石造りの塔が立ち並ぶ不思議な光景が広がります。
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雪深い冬には車両通行ができない村や集落があちこちにありますが、その厳しい冬が終わると、一年で最も美しく緑のまぶしい夏が訪れます。
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スヴァネティの中心の町「メスティア」

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メスティアから南東45kmのところにあるウシュグリ村へと続く道

一年中雪化粧をしているシュハラ山と高山に咲く花々がとても綺麗です。
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コーカサス山脈とイングリ川



アッパー・スヴァネティの村々には、1000年以上前の中世の時代に建てられた石の塔がそびえ立っています。
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争いの絶えなかったコーカサス地方に住むスヴァン人達は厳しい環境の中で生き抜くためにこうした要塞住居を築きました。
塔は9世紀から13世紀に建てられたもので、高さは26m〜30mほどです。
最上部には外部から敵が来た時に攻撃するための窓、石落としのアーチ形の窓が見られます。
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塔の一階部分は台所になっていて、水や食料を保存する場所に使われていました。
また、マチュビと呼ばれる居住部分が付いており、冬には暖を取るために動物と同じスペースで生活していたんだそうです。
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塔に連結する居住部分には、現在も、中世にこの塔を造った人たちの末裔が暮らしています。
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彼らは、牛や馬、鶏を飼い、近くの山で、オレンジ、ジャガイモ、ニンジンなどの野菜を育てています。
ヨーグルト、チーズ、ピクルスは常備食。
冬を迎える前には、加工肉や小麦粉、ジャガイモなどの保存食も準備します。

(*続く)




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2019年06月20日

エジプトの元柔道選手「ラシュワン」氏に日本の勲章

2020年7月24日の東京オリンピック開幕まで、あと400日ジャストとなりました。

日本のテレビでも、過去のオリンピックの話題がよく取り上げられるようになってきています。

オリンピックの話題で、エジプトの選手が注目されることはそう多くはないかもしれません。
しかしながら、1984年ロサンジェルス五輪、男子柔道銀メダリストのラシュワン選手だけは、一定以上の年代の日本人にとって忘れられない存在となっています。
この35年間、彼のことは、日本のテレビでも繰り返し取り上げられてきました。


1984年ロサンゼルスオリンピック、柔道男子無差別の決勝でのこと。
この大会中、当時の世界チャンピオンであった日本の山下泰裕選手は足を痛めていました。
その山下と決勝で対戦したラシュワンは、山下の負傷している右足を攻めることなく、怪我をしていない左足だけを攻撃しました。
結局、ラシュワンは、山下に横四方固で敗れ、銀メダルに終わりました。

試合後、ラシュワンのこのスポーツマンシップは大きな話題となりました。
結果、この年、ラシュワンは国際フェアプレー賞を受賞しました。

山下とラシュワンのこの試合のことは、現在まで語り継がれています。
例えば、一昨年、茗渓会理事長の江田昌佑さんは、柔道家の山口香さん(筑波大学準教授)との対談の中で、講道館柔道の創始者であり「柔道の父」とも呼ばれる「嘉納治五郎」の柔道精神が世界にきちんと伝わっている例として、ロサンゼルスオリンピックの決勝戦の時のラシュワン氏に触れています。
試合翌日の読売新聞には「山下が右足を痛めていたのは分かっていた。だからこそ僕は右足を攻撃しなかった。それに山下が強かったから自分は負けたのだ」というラシュワンの言葉が載ったそうです。
http://www.meikei.or.jp/data/uploads/2017/10/1095.pdf


このラシュワン氏ですが、先月発表された春の叙勲において「旭日単光賞」を授与され、そのことは、エジプトでも記事になりました。
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内閣府

私たちも、過去に何度かラシュワン氏を取材させてもらったことがありますし、日本まで同行して通訳したこともありました。
近いうちにまたお目にかかれることを楽しみにしております。
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ちなみにですが、ラシュワンさんの受勲が発表された官報を見ると、今回、もう一人、エジプト人の受勲がありました。
以前エジプトの外相だったナビール・ファハミ氏(5年前に死去)で、彼には「旭日大綬章」が授与されたそうです。


◇ラシュワン氏の受勲の資料【令和元年春の外国人叙勲】
賞賜:旭日単光章
功労概要:エジプトにおける柔道の普及及び対日理解の促進に寄与
主要経歴:元エジプト柔道・合気道・相撲連盟、柔道代表チーム技術顧問、元柔道エジプト代表選手
氏名:ムハンマド・アリ・アハマド・ラシュワン(Mohamed Aly Ahmed Rashwan)
性別:男性
年齢:63歳
住所:エジプト アレキサンドリア県 アレキサンドリア市




posted by Backbone at 04:28| エジプト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月14日

ジョージアのおやつ『チュルチヘラ』

ジョージア発祥の食べもの『チュルチへラ』は、コーカサス地方他周辺国でも食される人気のおやつです。

ジョージアでは、街のいたるところでこんな感じで売られています。
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色鮮やかなこのお菓子は、ナッツ類を糸で数珠繋ぎにし、小麦粉を入れて煮た果汁に浸したあと、天日干しにして作れられます。

ベースとなるナッツには、アーモンドやクルミ、ヘーゼルナッツなどが使われます。
また、果汁は、ブドウが最もポピュラーですが、キウイやザクロなどが使われることもあります。
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右と中央はヘーゼルナッツにブドウ果汁。左はクルミにザクロの果汁。


ブドウの種類によって色が異なったり、小麦粉の分量によって歯応えのあるチュルチヘラになったり、果汁の量を多くしてフルーツの風味が強く感じられるチュルチヘラになったりと、色や味のバリュエーションも様々です。
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ジョージアは、ワイン発祥の地として知られており、その伝統的な製法はユネスコの無形文化遺産にも登録されています。
ワインで有名なカヘティ州やイメレティ州のブドウ園で、ブドウの収穫時期に作られた「チュルチヘラ」は特に品質が高いようです。
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カヘティ地方の広大なブドウ畑

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ワインナリーもあちらこちらに


見た目のカラフルさばかりに目が行きがちですが、実は、味もおいしくて栄養素も高い優れた食べ物なんです。
植物性脂肪やタンパク質が多く含まれており、ジョージアでは保存食として重宝されています。
ブドウ園だけでなく、家庭でも、ブドウを収穫してワインをづくり始める秋頃に、搾ったブドウの果汁でチュルチヘラをたくさん造り、次のブドウの収穫時期までの一年間、乾燥した涼しいところで保存します。
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「作りたてのチュルチヘラはやわらかく、時間が経てば経つほど乾燥して硬くなっていくんだけど、温めるとまた柔らかくなるのよ」と教えてくれたのは彼女でした。
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チュルチヘラを一度口にすると、その味に魅了される旅行者も多いようです。
日本のイベントで見かけた時には、ぜひ試してみください。




posted by Backbone at 10:58| ジョージア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする